2011年02月20日

たこの木通信280号より

今月のたこの木通信で寺本さんが書いている文章がとても大切なことだと思ったので、お願いして転載させてもらう。

たいへんなこと、たいへんでないことかんたんなこと、難しいことわかること、わからないことおもしろいこと、おもしろくないこと

                       36:介助の交代 寺本晃久 

 親元を出て暮らすときに、生活の多くに支援をつかって生活しはじめると、介助者が交代するということがおこる。
 つい先日、実家を出て暮らす練習を始めたOさんの介助に入ったときに、まずぼくが部屋に入っていくと怪訝な表情をする。
「おまえはなんだ、どうしてここにいる?」といっているような感覚。
 そしてまた、ぼくの後に交代する介助者が来たときも、一瞬それまでと違った空気が流れた。
11でいるときは、まだわかりやすいんだと思う。でも交代となると、知ってる人が同時に目の前にいることになる。そしてそれまでいた人は帰っていく。
 介助者とすれば他の人のところで交代する場面も多いからそれが当たり前になっているけれども、Oさんにとっては初めての体験。「介助の交代」って、案外ふつうのことではない。
 親元にいるときには、介助は必要と目的に応じて現れる。すごく単純化すると、家にいて親と過ごすか、外で介助をともなって過ごすかということになる。出かけるから、介助者が来るという具合に。そこでは途中で介助者が交代する場面はあまりない。
 また、介助のシフトを組む側としては、とにかく介助の穴を空けてはならじと必死に予定を組む。介助者の都合もあって時間がまちまちになったりする。そのあたりの時間的なつながりを把握するのも、わかりにくいことだと思う。もうずいぶん長く「交代」を経験している人でも、そういえば毎回、簡単ではないみたいだ。
 「今から私があなたの介助者です、風呂のことをやって、一緒に泊まります」などとOさんに直接説明し、ていねいに何度か繰り返す。だんだんと飲み込めてきてもらえたかもしれない。
 それでも、初めて間もなくてぼくもわからないことがたくさんあるから、わずかな時間で少しでも前の時間にどうだったかを知ろうとして、ついつい介助者同士で話をしてしまう。でもOさんはそれをやられるとわからないし、他でもないOさんの生活のことを話しているわけで、持ち直してOさんに対して話すように、でも同時に前後の介助者にも聞いたり伝えたりするようにした。
 とある身体障害のある人は20年ほど前、あえて介助者同士で重ならないようにしていたこともあった、と聞いたことがある。本人を飛び越えて介助者同士で話がすませられてしまうことを拒んだのだった。障害者は自分のすべてを介助者に見られてしまうが、介助者は自分の生活を障害者に見せなくても済む。介助者同士が障害者のいないところでつるんで勝手に話が進んでしまうことを警戒したからだった。
 そんなことを、改めて思い起こした。
posted by 岩ちゃん at 20:40| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自立生活企画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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