2012年05月25日

次長課長の河本氏会見に思う

今朝、やたらと重力がきつく昼近くまで寝ていた私。
何気にテレビをつけると、お笑いタレントの河本準一氏の会見をやっていた。

NHK NEWSWEBによれば
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120525/k10015368971000.html

「人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんが、一定の収入があるにもかかわらず、母親が生活保護を受けていると批判されたことについて、河本さんが25日、記者会見を開き、「甘い考えだったと深く反省している」と謝罪したうえで、母親が受け取っていた生活保護費の一部を返金する考えを明らかにしました。」とまとめられすぐさま発信されていた。

そして、ここに至った原因として
「この問題は、テレビや舞台などで活躍する河本準一さんが一定の収入があるにもかかわらず、母親が生活保護を受けていると、先月、週刊誌で報じられ、批判されていたものです。」
と書かれてあった。

会見終了後のワイドショーでは、河本氏の話に留まらず生活保護制度にまつわる話へと発展した。
私がツイッターでつぶやいたことに反応し返信を寄せてくれた方々も、同様に生活保護制度にまつわる話へと発展。

私自身も生活保護制度についていろいろ思い巡らす事はあるが、
起き抜けにまず驚いたことはその事ではない。
又、これから書こうとしている事も一義的にそこが問題と言うのではない。
ただ、当然ながら問題にしなければならない事もあるので、それはまたの機会にする。

それで、何に驚いたかと言えば、
「子どもの親に対する扶養義務」と言う点。

今回は河本氏の方に収入があると言う事で「子どもの親に対する」と言う図式になっているが、
ようするに三親等の親族による扶養義務について、その義務を果たしていなかった有名人を糾弾すると言う会見になっている点が、はたしてそれで良いのか?こんな記者会見が許されるのか?と憤りを覚えている。

「収入があるのに親の面倒を見ていない」と言う周囲の目。

これを逆に障がい当事者の親たちが河本氏の立場にいたとしたら、彼が涙目で語る言葉は世の「障害者の親たち」が自分の至らなさや甘さを世にさらしていると言う事になる。

昔、障がい当事者の自立生活にあたり生活保護申請に同行した時、
「なぜ、生保を使って自立生活をするのか?」
「施設ではだめなのか?」
「生活保護は税金だから、そんな勝手を言わせない」
↑(入所施設も税金なんですがね〜)
「親の援助を受けられないのか?」等々
聞かれ、その一つ一つに反論し申請を受理させてきた。

しかし、申請を受理した後に出てくる言葉が、
「受理はします。決定に際しては扶養調査をします」
「扶養できる親族がいる場合には認められませんから」と言う。
すなわち、親に対し本人が生活保護を利用しないように親の側から説得させる風に仕向けようとする。

親はたまったもんではない。
「生活保護は身内の恥」とまで言われる日本の社会。(この点について週刊誌で河本氏が「貰わな損」と言ったのは、親が生活保護を受給している状況をそうでも言わなければ辛くなる状況にあると私は理解していて、決して「不正受給」と言うものではないと思ている)
親は子どもの自立を願ってもそれがかなわぬ今日の社会。
親が生きている間は親が財政的に支えられても、親が亡くなった後はどうするのかと言う不安。
その不安をなんとかしようと選択する施設入所。
それが、せめて生活費の面で生活保護を受給し暮らしを成り立たせていこうとする当事者に対し、親に調査と称し先の事を同様に聞かれたら「私が面倒を見ます」と言わざるを得なくなる。
でも実際には面倒が見れない中で、親は施設から出る事を拒否する。

生活保護を申請するために、親とけんかし「縁を切る」とまで言わなければ、又親にも言わせなければ生活保護を受給する事ができなかったと言う時代がある。

個人の生活権としての生活保護を「扶養義務」と言うもので縛り生保を取らせない事を、過去行政は何度も繰り返してきた。

親は親として、子どもは子どもとして、お互い成人したものとしてそれぞれがそれぞれの生活を成り立たせていく事。
誰かがいなければ誰かの生活が成り立たないと言うものではなく、
「自らに拠って立った生活つ」と言う「自立生活」を実現するために、
長年障がい当事者たちは戦ってきた。

そして、私の周囲にいる人たちは重度知的当事者と呼ばれ、彼らは自らが自らの想いを発する事ができず、
先の行政職員の問いに加え、「本当に本人はそれを望んでいるのか?施設で暮らす方が本人にとって良いのではないか」と言われる。

本人の意思は本人が語らなければ私にだって本当の事は解らないので揺れ動く。
しかし、すでに保障されている事柄その保障を勝ち取ってきた上にあるはずの生活保護が、再び「親族によって扶養するのが当然」と言う流れになってしまっては、重度知的当事者の地域の中で自立生活をすると言う事はできない。

折りしも国は、地域移行とか退院促進とか言っている。
前々からなんで突然国はそういう事を言い始めたのかと言う点に、
入所施設を国で保障するよりも、ヘルパーやグループホームを民間に任せる事で安くなると言う事で言い始めたと私は思っている。
そして今回の報道。

介助/支援にかかる費用を安く上げようとするだけでなく、
その人の生活費さえも国は支給せず、親族に払わせようとしているように思う。

当然、それはおかしいからと、再び施設入所を求める動きが生まれてくるように感じる。

私は、私の周りにいる障がい当事者の事とその支援の事を思いこのブログを書いている。

でも、ホームレスや寄場の日雇い労働の人たちとのつながりもある中で、今回の報道は彼らのこれからの生活を奪っていく話でもあると思っている。

いろいろ書きたい事は山とある。
生活保護制度の実際を知らない人たちが単にその金額だけに注目し、嘘や誤解を積み重ね、それに対し国は何も動かない。
そもそも超プライベートな生活保護受給に関し国家議員が名指しで取り上げるなんて「法令」違反だと思う。
そして、記者たちが「他の親族も受給していたようですが、それは誰でその人たちの分の返還も行うのですか?」等と聞く事自体生活保護制度の事やそれを取り巻く状況をまったく理解していない事に腹が立つ。

いろいろと書きたい事は山とあるが、
とにもかくにも、
「親族による扶養」と言うものが巻き起こす様々な問題が今回の会見には含まれており、
会見するような話ではないのに、応える必要のない事なのに、無節操な質問に対し河本氏が応えている姿にいたたまれなくなった。

「生活保護制度のありよう」と言う議論は必要なんだろうけど、
その前に、
「親族による扶養」と言うものがいったい何を引き起こすのか?
その事によって、個々人の生が閉ざされている事に目を向けなければならないと思った。

と言う事で、
障害者団体やホームレス支援や寄場労働者を支援する人たちや弁護士等々の皆さんへ
ぜひ今回の取り上げられ方に関し、声明等を出して欲しいと思います!!
posted by 岩ちゃん at 16:17| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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