2014年01月29日

生活保護の医療券

生活保護を受給すると、医療費は生活保護から支給される。よって、健康保険証は不要となり代わりに、受診の際には「医療券」なるものをもって受診する事になる。

この医療券。
とある市の生活保護課に行くと、「原則受診前に医療券を取りに来てください」と言われた。
歯科などの「予約診療」とかならまだ解るのだが、病院にかからねばならない状態なのに、
「その前に役所に行って医療券をもらって」などやれないと普通に思う。

その点を聞いてみれば、
「あくまでも原則で、急患の場合は受診した後でも構わない」と言う。
では、
「ちょっと具合が悪いのでと言う場合は?」と聞けば、
「原則は、事前に取りに来てもらわなければ・・・」と言う。

「あのね。24時間介助がついている知的当事者は医療券を取りに来るのも大変なのよ!」
「本人の具合が悪そうと受診するかしないかを判断するのもヘルパーは困難だし、その上に医療券を当事者と一緒に取りに行かなければ受信できないとなれば、判断を見誤ることだって起こりかねない!」
「それに、わざわざ役所まで寒い中出向く事で、症状が悪くなったらどうするの?」と伝える。

あれやこれや行きつ戻りつの話を重ねた結果、
「事前に電話をいただければ、役所から直接医療券を病院へ送るようにします」という事になった。

で、
一安心と思いきや話は終わらない。

こんな話になったのは、当事者の具合がちょっと変だったからで、事前の対応として話をしていた。
すると次の日、私の見立て通り症状が下降し、「急患」でかからなければならなくなった。

「急患の場合は・・・」と言っていたので、とにかく電話を入れ受診できる病院を聞き向かった。

ところが、
受付で「生活保護の場合は医療券がなければ自費扱いになります」と言われる。
「医療券を取りに行ける状況ではないから、役所には連絡を入れているので、そちらに確認してください」と言う。
それでも、ガンと「医療券がなければ自費」と言う受付担当。
あれこれやり取りした結果、「生活保護の受給決定通知」を見せ、それをもって生活保護受給者であることを確認してもらった。

受診する事が叶ったのだが、
受付奥から聞こえてくる担当者と医者の話
「生活保護だと医療券が必要なのにね〜。」と聞こえているとは思っていないのかもしれないが、
嫌味タラタラの会話が聞こえてきた。

私は当事者の支援者としているので、私自身は健康なのでこういうやり取りをする事で本人の利益を守る。
しかし、もし私自身が受給者で病で弱っている時、こんなやり取りを求められたら・・・
まったくたまったもんではない。

まったく健康ならばこういう場面も現れないが、いざ現れる時にこういう状態だと病以上にダメージは大きいだろう。
そして、次に具合が悪くなった時に想い起すやり取り。
少々の具合の悪さなら我慢する方向に動くだろう。
我慢した結果良くなれば良いが、
我慢したことで症状がより悪化し、
かえって多大な医療費が必要になるなら行政にとっても困る事になるだろう。

行政は「ジェネリック薬品に切り替えて下さい」と受給者に強いている昨今。
「ジェネリックでなければならない理由を明示しなければ認めない」とさえいう。
それを受給者に求めるのはお門違い。
ジェネリックか否か等、医者でも薬剤師でもない素人には解らない。
それよりも、「ジェネリックしか認めない」とする事で、受給者たちは不安を増大させる。
行政は、受給者にそれを求めるのではなく、専門家の見地からジェネリックの活用も含め診断処方を検討して欲しいと医療関係者に求めるべきだと思う。
それを、受給者に強いる行政。

ジェネリックの話はさておき、
医療券の話に戻れば、

行政と医療の関係において、行政自らが担うべきことは受給者たちが安心して受診できる事。
「気は病から」と言うなら、その「気」を盛り上げるためにも、安心して受診できる状況があれば、
行政の「至上命題」である「保護費の削減」にもつながるのではないだろうか?
自分たちの努力なしに、受給者に強いる事はどうにも納得がいかない。



この記事を書いた後に知ったニュース。

生活保護:申請断念させる 新宿区「違法水際作戦」 NPOが批判 /東京

http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20140129ddlk13040179000c.html

医療券どころの話ではない。
入院が必要なぐらいの人に対し、本人が知らない事を良い事に違法な対応をする新宿区。
こういう事がしばしば行われているんだろうと思うと恐ろしい。

それでも、なんとか生活保護を受給する事ができた人に対して、
私が書いた記事の状況が襲う。

「最低限の生活保障」と言う憲法で定められた事に対し、税金で雇われている区の職員が違法を犯す。
この国には、「最低限の生活保障」さえ認められていない現実。

なんとも言い得ない状況。

そして、こういう事態が起こっている事を知らない人々が、
「生保たたき」をする。

なんとも嫌な世の中だ!


posted by 岩ちゃん at 13:38| 東京 ☀| Comment(7) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
歯科で働く者です。

生活保護の制度を受けるには、医療券が必ず必要です。

医療券には、受給番号等が記されていまして、
受付のパソコンにその番号を入力しないと会計はゼロにはなりません。

なので、医療券をお持ちでない患者さんには、10割で請求し、後日医療券がこちらに渡って番号入力が出来てから10割分返金となります。

区役所に医療券を取りに行けず、電話で医療機関に送ってもらう場合も、受診日に医療券が医院に届いていなければ、同じように10割請求、後日返金となります。

生活保護受給者である事を証明する紙は、(うちの地域ではピンクのもの)その紙の下部にも書いてある通り、受給者である事を証明するものであり、医療券ではありません。
受給番号が記されていないので、こちらでは何の処理も出来ないのです。

受給番号が入力出来ないとどうなるのか。
翌月、健康保険組合からこちらが注意を受けます。
正しく処理する為に、医療券発行の手続きをしなければなりません。

患者さんに連絡して手続きをしてもらう、こちらで手続きする。
どちらにせよ、電話代、それに割く時間。
全てを私達が負担します。
結果、他の患者さんをお待たせする事になってしまいます。

生活保護を受ける方は、その制度を受ける為にルールはしっかり守っていただきたいです。
みんながみんなそうではないですが、少なくとも私の医院に通っていただいている生活保護受給者は、社会保険、国民健康保加入者より、態度が大きいです。
こっちは大変なんだから!って言われたりもします。

個人の事情はこちらに何の関係もありません。
急に歯が痛くなったのに10割払えっておかしくない?と言われたこともありますが、
ではまずきちんと定期検診に来ていますか?
来られないような状態だったら、急患でも足を運べないと思います。
今ここに来られてますよね?

生活保護受給者の負担金は、私達が税金払って負担しています。
制度を受けるなとは言ってません。

あなたを担当した受付の方だって、あなたの負担金をその受付方が自分のお給料から税金として支払っているんです。
国が負担しているんじゃありませんよ。

制度を受けるのなら、決まり事を守って下さい。
私情を挟んで来ないで下さい。
私達は好きであなた方の為に働いているんじゃありません。
Posted by まい at 2014年11月12日 23:17
まいさん
コメントありがとうございます。
知らなかった手順を教えていただき感謝です。
この記事を書いた時、受付の担当者と医師の会話があまりにもひどく感じたため、私も感情的に書き綴ったと反省しています。
そして、医療現場でのご苦労を知る時、
私たちの側にはそのような手順がある事を知らずに、そこから生まれるご苦労を想像するしだいです。
そして、この事は、受給者と医療の現場が反目しあうのではなく、行政が何らかの手立てを講じ、受給者と医療従事者とが信頼関係を築ける事が重要なのだろうと改めて思いました。
この記事に出てくる行政ではないところでは、とりあえず役所に電話をかけて受診する。受診を確認して医療券を役所から送るという対応がなされています。
それが当然と思っていた私としては、それが当然でなかった現実を目の前にした時、ブログの記事になったと思います。
コメントから読み解くに、
受給番号が明らかになっていれば事は早いのでしょうか?
例えば受給者が役所に「これから病院にかかる」と連絡を入れ、
すぐさま役所から病院に「受給者番号〇〇〇の△△さんが受診します」と一報を入れると事は進む(医療券は後日持参するとか役所から送る等)のでしょうか?
「受給者番号がなければ処理ができない」という事を知った私としては、今後同様の事があればそれも含めてやり取りしたいと思いますが、いかがでしょうか?

Posted by 岩ちゃん at 2014年11月13日 15:43
先進国では生活困窮者に国が福祉の利用をすすめる。
生活困窮者がいる事は国の恥であって個人の責任ではないからね。
当たり前の常識だ。
日本は中世レベル。
貧民は罪人扱い。
先進国だったら人権問題になるのにな。
生活保護は当然の権利!!
世界を見れば生活保護バッシングが異常なのが分かる。
最低最悪なゴミ国家日本。
Posted by 日本はおかしい at 2014年12月07日 07:02
何故こう上から目線になれるのかが解りません
おそらく圧倒的多数の納税者がそう感じるでしょう
貰って当然 一般サラリーマンと同様の生活ができて当然
そういう思考の方が多いのでしょうか?いつぞやのデモ行動も何やら勘違い行動に思えます
福祉関係の仕事に就いておりますが 実際ご本人の責任ではなく
避けられない事態によって保護となられた方は 身の丈に合った生活をなさっているのに おかしな支援者や弁護士に煽られ踊らされた一部の受給者のせいで 慎ましく暮らされている方まで偏見の目で見られるのはお気の毒だと思います
Posted by やはりおかしい at 2015年06月26日 00:36
ジェネリックの話ですが、聞いたところによると、ジェネリックの方が処方箋で薬を出す所が儲かるそうです。

普通の薬は効かなくてジェネリックで効いた、その逆もあるようなので、言われるまま全てをジェネリックに薬局で変えてもらうのもどうかと思います。

私も保護受給者ですが、本人じゃなくて家族が役所へ取りに行った場合でもちゃんと受け付けてくれますよ。
担当者や地区によって違うのかもしれませんが…。
Posted by 通りすがり at 2016年01月08日 10:27
生活保護費は、生活の必要最低限しか与えられていないはずですので、突発的な体調不良のような緊急事態に関して、医療券のような手続きを求められても難しいということは多々あるだろうと拝察いたします。制度設計や役所の硬直した対応に、そういうことに対する基本的な想像力不足を感じます。

『「生活保護だと医療券が必要なのにね〜。」と聞こえているとは思っていないのかもしれないが、嫌味タラタラの会話が聞こえてきた。』

しかしここまでくると、想像力不足を通り越して、差別のにおいがしますね……。

ただ、一点ひっかかったことがあります。批判的なコメントに対して、岩ちゃんさんは『この記事を書いた時、受付の担当者と医師の会話があまりにもひどく感じたため、私も感情的に書き綴ったと反省しています。』とお返事なさっております。
せっかく筋の通ったご意見を述べられているのに、こういう理由で反省する必要があるとは思えないのですが、いかがでしょう?

「生活保護受給者は、国民の税金で食わしてもらっている以上、他の納税者と対等であってはならない。常に負い目を負わされた恥ずべき存在として、分際をわきまえなければならない。」そのように思っている人が、残念ながら少なくないのが現実です。カネで人の横っ面をひっぱたくような理屈ですね。そういう風潮に乗じるかたちで「嫌味タラタラの会話」も出てくるのでしょう。
生活の現場でこういう事態に遭遇したとき、それに対して「不当だ!」と怒りを感じ、「感情的に」なれるのが人権感覚というものです。私はその怒りを強く支持します。しかし、怒っておいて後で反省を表明するとなれば、それははたしてどういう立場表明なのかなと、疑問がわきます。「怒り」の正しさはどこにいってしまうのかと。

貴ブログは、オーナーが承認したコメントのみ表示されるかたちになっております。私の感覚からすると、かなりヘイトスピーチ的だなと感じる発言も承認なさっているようです。生活保護に関しては、ヘイト的発言が当たり前となっていて、誰からも咎められない。咎められないから、それがヘイトだという感覚が醸成されず、いとも簡単に「ふつうの意見」としての地位を獲得してしまう。そして、「割れ窓理論」式にエスカレートしてゆくという構造があります。

こうした発言を承認し掲載されるなら、載せっぱなしにするのではなく、管理者として「意見」と「ヘイト発言」とを峻別し、サイト内できちんとヘイト発言を咎めることができるかどうかが肝心です。それが適切になされていないと、ブログ全体を通じて岩ちゃんさんが結局どういうメッセージを発信されたいのかが、読み手に伝わらなくなります。
(本当は承認してほしくないんですけどね……。私が直接コメントに具体的な論駁を加えるのもなんですし。よそ様の庭で派手にケンカふっかけるわけにもいきませんから……。)

社会的マイノリティーに対してよき支援者でありたいと志す人が、「人権」の立場に立つのは必須であり、正当です。しかしそうすると、多かれ少なかれ人権嫌いの主流言説(≒一般世間)の反発を喰らうのが、この社会の避けられない現実です。どうせ避けられないのですから、しかるべきときには対決すると、腹をくくられたほうがよろしいのでは?「客観・中立」の構えを捨てるべき局面もあります。

差別問題に取り組むうえでは、こうしたささいな局所的場面こそがたたかいの正念場。逆に、そこさえ押さえていれば、個人レベルの取り組みとしては、やれることはすべてやったということになると私は思います。

以上、ご検討をよろしくお願いいたします。

ちなみに、私は今のところ生活保護受給者ではない、無職療養中の貧乏人です。

(ん〜、ちょっと長文になってしまいましたが、せっかくですので、そのまま送信します。スミマセン!)
Posted by K.アオヤマ at 2016年04月06日 19:45
K.アオヤマさんへ

ご賛同とご指摘ありがとうございます。

もっともなご指摘だと思います。
ただ、
私はネット世界ではないところでのやり取りを主としているので、
この場で、なかなか十分な展開ができない事を心苦しく思っています。

私自身、社会全体を変えていくという事よりも、目の前に存在する人たちとの事を書き綴るのみです。
又、書き綴る事で同じく目の前に存在する人たちとのやり取りに活かせるコメントがあればと思っています。

なので、このようなコメントを頂けることは、私の不十分さを補っていただいていると思います。

記事に対するコメントへ十分なやり取りができない状況ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします。
Posted by 岩ちゃん at 2016年04月06日 20:40
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