2015年11月29日

「新しいヘルパーを見つけないとね」という当事者と

昨日、ガイヘルでお出かけしていた時の事。
唐突に「新しいヘルパーさんを見つけないとね」と言葉を発した当事者。
間髪入れず「そうだよね〜」と応える私。

彼は、現在「短期入所」という枠で月の殆どを入所施設で暮らしている。
月に数日親もとに帰ってくるのだが、戻っている日中の殆どは移動支援を使っている。
さらに移動支援をの利用に際しては、2人派遣が認められる。

行政も認める程の「強度行動障害」と評さられる彼。
親もとに戻れば、夜中中両親や家族を起こして話しまくり、対応を誤ればたちまち大パニックになる。
「短期入所」+「(二人派遣の)移動支援」というのは、
家族にとっては、「入所施設に入れたくない」しかし「現実は耐えられない」という状況でのギリギリの選択。
行政も、(財政面での判断は大きいが)親御さんたちの希望に応えている。

「短期入所」は、二つの施設が受け入れているのだが、移動支援の方はどこも担ってもらえない状況。
担っていた時期もあったらしいが、大騒動が続く中でさじを投げた。

そんな彼からの移動支援の依頼が知人の事業所に入ったのが数年前の事。
知人が引き受けた当初、本人は大騒動の経験から電車やバスに乗れず、かと言って徒歩で街を歩けば見知らぬ人とトラブルを招く状態。
二人派遣に加え車での移動も認められていた。

引き受けた知人は、その当初ひたすら彼とドライブに出かけ、リスクが少ない場所を見つけて車を降り、食事をとったり買い物をしたりと日中を過ごしていた。
淡々とした対応の知人に、彼も安心を得て車をおりた時のリスクはどんどん解消されていった。

知人からは常々状況を伺っていたが、市外の人故に私たちはガイヘルを担う事ができず、
知人と彼のやり取りを、側面から支援していた。

その後、当該市の移動支援ができることになり、
私が彼のガイヘルを担うことになった。
さらに、もう一人のうちのスタッフも担うことになり、
二つの移動支援事業書で、3人のヘルパーが彼のガイヘルを担うようになった。

二人派遣が認められる程の彼だが、人手不足故に二人はけんなんてできない状況。
でも、彼は妄想や幻覚があって暴れる人ではない。自閉症故に起こってしまう周囲との関係の混乱が、
大騒動へと発展していることは明らか。
なので、見知らぬ他者との関係をいかに築くかという事が最大のテーマであり、
そのために、3人のヘルパーは彼との関係をそれぞれの視点から懸命に築いてきた。

知人一人だけがガイヘルを担えるようになった状況は、一つ彼の暮らしが拓けたことだと思う。
しかし、その知人ができなくなればたちまち閉ざされてしまう当事者のガイヘル。
そこをなんとかしなければと思い続け、現在3人で担えるようになっている。
でも、それだけでもいづれ閉ざされてしまう可能性は拭えない。
なぜなら、この3人は日常的に支援をめぐりあれこれ語り合っている3人で、
様々な支援の現場を共有し、自閉症を伴う当事者たちとの関係づくりや当事者と周囲との関係づくりの大切さをよくよく知っているから。

現在、全く危なげなく彼とでかけられる。乗れなかった電車やバスにも楽しく乗って出かけられるようになっている。二人派遣が必要な人とは毛頭思えない。
親もとに戻っている期間、本人も家族も安心して過ごせるようになっている。
過去の出来事がまったく想像できない雰囲気は、
私たちが、担っている事が大きく影響していると思う。
しかし、何を担っているのか?私たちと彼の間にはどのような了解がなされているのか?
そこがまったく見えていない中で、
ただ「上手くいっている」「安定している」というだけで他の事業所に委ねると、
たちまち元の大騒動へとなっていくような気がする。

「うまくいっている/うまくいかない」と言うのは、単なる事象でしかないので、
その理由に無自覚でいると、見えない事柄の中で本人は、誤解して受け取ったり、混乱して対応ができなかったりする。

そう思うと、まだまだ私達は何も彼のことを理解できていない。
理解できていないと思えば、他者に委ねることに臆病にもなる。

でも、
私たちの臆病さから上手くいっている3人のみで担い続けても、いづれは担えなくなる。
(特に、一番当事者とのれん例の開きがある私は、いづれ一番に離脱することになる)

なので、私たち以外の人にも担ってもらえるように努めなければならないと思う。

そんなことを当初より思い続けてきた中で、
その想いが本人に通じたのか?
「新しいヘルパーを見つけないとね」という冒頭の彼の言葉になったのかもしれない。

とりあえず、
二人派遣は今も認められているので、
3人の誰かと一緒にガイヘルを担ってくれる事業所を探したいと思う。
言葉や書面では伝えきれない彼とのやり取りを、実際のガイヘルの場面で共有し、担い手を増やす取り組みを初めて行きたいと思う。

彼に対しては、「新しいヘルパーさんは、必ずしも車の運転ができるわけではないから、車を使わずに家から外出できるように次回お試ししよう」と提案して、了承を得ている。
(電車やバスに乗れるようになった彼だが、現状最寄り駅とその路線の電車が使えないため、車で迎えに行き、事務所に車を置いてから電車に乗っている)

一緒に彼のガイヘルを担ってれる事業所。
「強度行動障害」と称される人の移動支援のノウハウをともに考えてくれる事業所。
ぜひぜひ名乗りを上げて欲しい。
帰宅後、親御さんにその旨を伝えると、
彼は、両親に対して
「いつまでも元気でいて欲しい」
「いつまでも、僕のことを見てて欲しい」という旨の話を唐突に語りだしたとのこと。
そして、
「岩ちゃんは、いつまでガイヘルができるだろうか?」
「ずっとやって欲しいけど・・・」という話も出たとのこと。

そんなことから「新しいヘルパー」という話になったのだろう。
また、常日ごろから彼に語っていたことは、
その折々に彼がどこまで理解できるか/しているかは不明だったけど、
方向性も持って語っていた私の話を彼は、しっかりと受け止めていてくれたということに感じました。

それは、とても嬉しく思うと同時に、
彼の実感に基づきて、こちらはその実現に向けた取り組みを加速させなければならないという、
ほんわかした話しではなく、気を引き締める想いで受け止めています。

posted by 岩ちゃん at 09:27| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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