2016年08月02日

重度知的当事者と投票へ

先日の都知事選。
なんとも恐ろしい結果になってしまった。
これからどんな状況が襲ってくるのだろうか?
私の目の前で起こっている事に向き合うだけでは済まない状況が日に日に拡大しているように思う。

その都知事選。
障害者差別解消法が施行された後、初めて介助者として重度知的当事者の投票に同行した。
(これまでも、重度知的当事者の投票をあれこれ支援していたが、施行後どのように変わったかと思い描きつつ出向いた)

まずは、敵情視察ではないが、
私の投票会場に当事者と一緒に行き、
選挙管理委員の人に
「この方は、別の会場で投票するのだが、どのように投票するかをここで見ててもらっても良いか?」と尋ねた。

「投票人以外の入室禁止」とかつて言われているので、投票行為が見えるギリギリの位置に一人で立ってもらい見ててもらおうと考えた。
すると、
「わかりました。どうぞ一緒にお入りください」とあっさり言われて拍子抜け。

当事者を私の横に立たせつつ、本人確認のみならず、記入台のところも一緒に立ち、
「この中から候補者を選んでこの紙に書くんだよ」などと説明ができ、
投票用紙を投票箱に入れる時にも、私の横に立っていた。

何か対応が変わったの?
はたまた知らないだけなの?

狐に摘ままれた想いで、会場をでて続いて彼の投票会場へと向かった。

投票券を破って捨ててしまった彼。
その旨を入り口で伝え、愛の手帳(療育手帳)で本人確認。
いざ投票へ!
彼らはなんと対応するか?と身構える私。
先ほどの事も念頭に入れつつさあ!さあ!さあ!と内面バクバクしながら、
受付の方に「この人の投票をどのようにサポートすれば良いでしょうか?」と尋ねる。

以前なら、
そこから先はすべて選挙管理委員と職務担当者たちによって彼の投票が支援される。
それは、実際彼が誰をどのような形で選ぶのかを全て担当者たちに委ねる事になる。
以前、
期日前投票だと同じ会場で投票できるので、その様子を見た事があった。
明らかに本人が選んだとは言えない人を代筆する担当者たち。
その対応にあれこれ抗議したが認められなかった事もある。

「さあ!どう合理的配慮をするのか?」
と再び身構える私。

「了解しました」の後に続く担当者の言葉は、
「どうぞ付き添ってください」だった。

「えっ!本当に良いの?」と思いつつ、
投票用紙を受け取り、記入台の前に立つ。
私は横から「ここに書いてある人から選ぶんだよ」と。
ただ言い終わる前に、用紙に自分の名前を書く当事者。
「えっ!えっ!えっ!」と思ったけど、
見ず知らずの担当者たちに支援され、
あらぬ人(例えば偶然指さしした人を担当者が代筆するとか)の名前が書かれるよりも、無効票になった方が良いかと思い、その後の対応を彼に伝えて無事投票終了しました。

差別解消法が施行された。
被後見人の選挙権が回復した。

その事ですんなりと投票できたのだろうか?

彼は、被後見人ではないのでこれまでも何度も選挙に行っている。
たぶん自分の名前を書いているだろうと想像していたが、今日はっきりとした。
(てな事をこんな公の場で言って良いものなのだろうか?)

そして思う事は、
「重度知的当事者が投票するなんて無理」
「責任ある投票ができるのか?」
「判断能力のない人に投票させるのは、周囲に利用されるだけ」等々、
様々な理由で、権利はあってもまともに行使する事が許されなかった時代。

私の周囲にいる人たちにとにもかくにも「選挙に行って!」と言ってきたし、
そのための支援を担ってもきた。

もし、この日の出来事があたりまえになっているならば、
「とにかく選挙に行く事」でその存在を訴えるという課題は達成した事になる。
今回出会った投票所の関係者たちが「重度の知的障害があっても投票する権利がある」と普通に思い描いているなら幸いなことに思う。

そして次は、
「本人が誰をどのような形で選ぶのか?」という課題に移るという事になる。

これがなかなか難しい。
「選挙に行こう」
「選挙に行った」というのはいくらでも口にできる。
でも、
「誰に投票する?」
「誰に投票した?」という問いを投げかける事は、実は非常にややこしい。

「〇〇さんに入れたよ」「△△さんに入れました」という回答を耳にした時、
聞く側と異なる人を選んだ場合周囲はどうする?
「えぇ〜!」とか「何でぇ〜!」と言った軽いリアクションの経験から、
次は「誰に入れたか言わない」という当事者もいる。
すると周囲は「何で言わないの?」と責めたてる。

又、お互い誰に入れるかを語り合い選ぶ際の参考にするというのはありだと思う。
でも、それを語る事でその人の人格を評価する事になってしまう場合もあったりする。
「秘密選挙」というのはそういう事なのだが、
当事者たちが自らの想いや利益を願い投票するという事は非常に難しい。
又、
なぜ当事者だけがそこをはっきりしなければならないのかという意見もありややこしい。

この先何度も巡ってくる投票の機会。

投票に際して付き添いが認められたならとてもありがたい。
でも、
集団で当事者たちに特定候補使者の名前を書かせるという事も出来てしまう。

当事者自身が思う人に投票するという事。

あっけなく終わった今回の投票行動とその支援。
面喰いつつも、次は重度知的当事者の投票という自己決定の課題にに向かわねばと思う。

※ちなみに、
「私が同行してきたからうるさい事を言われないように対応したのでは?」という人たちへ、
参議院選の時は、確かに顔見知りの人がその場にいたけど、今回は全く知らない人たちばかり。
又、2つの会場で同様の対応をされたので、多分私だからという事ではないと思う。
皆さんの地域ではどうでしたか?
posted by 岩ちゃん at 16:06| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 支援を模索する | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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